EK9とZC33Sを比較してみた。昔の愛車と今の愛車を振り返る

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今回は私の昔の愛車であるEK9と今の愛車であるZC33Sを比較してみようと思います。
EK9はフルバケ・車高調・社外マフラー・追加メーターなど
主要なカスタムパーツは交換していました。
対するZC33Sは純正のままですし、トランスミッションも(家庭の事情もありますが)ATを選択するなどだいぶ丸くなった仕様ですが
2台とも時代は違えど、名車と呼ばれるホットハッチなので
振り返りながら違いや似ているところを比べてみようと思います。

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1.6LNAと1.4Lターボ

EK9は、とにかく回してナンボの車でした。
VTECが切り替わるあの感覚、6000回転から上の伸び。
あれを知ってしまうと普通のクルマには戻れない気がしていました。
その代わり低速トルクはスカスカで、あまり街乗りが快適な車ではなかったです。
サーキットや峠もたまに行っていましたが
なかなか公道ではあの回転域は使えませんし、当時高速もあまり利用してなかったので高回転を持て余していました。
一方でZC33Sは1.4Lターボ。回す楽しさという意味ではシビックの時のようなものはありません。
タコメーターの針が暴れるような高揚感はない。
でも、街中での扱いやすさはバツグンです。
低速トルクがもりもり出てくれるので、信号待ちからの発進も峠道の立ち上がりも、アクセルをちょっと踏むだけでスッと進む。
MT車も試乗で乗りましたが、発進のしやすさにはびっくりしました。
日常で使うクルマとしては、ZC33Sのほうが圧倒的に楽です。
個人的に体が浮くような パンチの効いたターボの加速が好みなので
トルクもりもりな車も楽しいです。

サウンド

音は対照的です。
EK9のB16Bは、レッドゾーン手前の8000回転付近で聴こえる金属的な高音が本当に気持ちよくて、あれは一度味わうと忘れられません。
VTEC切り替わってから上の音域は、もう楽器みたいな世界でした。
対してZC33SのK14Cは、ターボらしい低めの太い排気音がベースです。回しても音域は大きく変わらないので、官能性という点ではB16Bに軍配が上がります。
マフラー交換しているのもありましたが、純正でも上まで回したときの爽快感はたまりませんでしたね。
ZC33Sは純正ですと、非常に静か。惚れ惚れするような音はないですが
長距離移動や高速走行時でも疲れないのは快適です。

LSD

タイプRがすごいところは、ヘリカルLSDまで標準で入っていたところです。
EK9はタイプRということでノーマルのまま峠やサーキットに持ち込んでも通用する公道を走れるレーシングカーみたいなものです。
これは本当にメーカーの本気度が見える部分でした。
ZC33Sは残念ながらノーマルではオープンデフです。立ち上がりで内輪が逃げやすい場面があって、社外のLSDを入れる人が多いのはそのため。
コスパや街乗り快適性のためにLSDは削られたのかなと思いますが
走り込む人ほどここの差は感じる部分だと思います。

足回り

EK9は足回りも、最初からサーキットを意識した状態で組まれていました。
後の世代のFD2ほどは固くはなかったと思いますが、市販車としては
かなり固い方だったと思います。
ZC33Sの足回りは純正は固すぎず、柔らかすぎずガチガチの足ではないです。
一般的な車と比べると少し固めかなくらいで、街乗り快適です。
社外パーツで自分好みに仕上げる楽しさはZC33Sのほうが大きい。
素のままで完成しているEK9と、ベース車として楽しめるZC33S、というキャラクター分けが見えてきます。

パワーウエイトレシオ

EK9は約1050〜1090kgに185ps、パワーウエイトレシオは約5.7〜5.8kg/ps。ZC33Sは約970kgに140ps、約6.9kg/ps。先代ZC32Sは約7.8kg/ps。
EK9の数字は、今見ても普通におかしいです。
20年以上前のテンロクNAで、この値はちょっと異常。
ZC33Sも軽量ボディとターボトルクで健闘していますが、絶対的なパワーウエイトレシオではEK9にはまだ届きません。とはいえ、ZC33Sは現代の安全基準や快適装備全部入りでこの数字なので、単純な比較とは言えませんが。

2ドアと4ドア

EK9にフルバケを入れていたので、後席への乗り降りは毎回ひと苦労でした。
シートを倒す機構がフルバケだと使えないので、後部座席へのアクセスは基本助手席側からのみ。しかもセミバケを倒す必要がある。
荷物の積み下ろしも地味に大変です。
ZC33Sは4ドアなので、後席へのアクセスは普通に快適。フルバケを入れても後席の使い勝手はそのまま残ります。
家族や友人を乗せる機会があるなら、4ドアのありがたみは本当に大きい。スポーツカーとして割り切れるかどうか、ここがひとつの分かれ目だと思います。

内装・快適装備

EK9はタイプRXという後期でも最終型に乗っていたので意外にも快適装備は充実していました。さすがに現代の車と比べると古さは否めませんが
キーレスや電動格納ミラー、パワーウインドウやエアコンなど街乗りする分にも快適に走れるものは一通り装備されていました。
ZC33Sは現代のクルマらしく、もっと充実しています。
特に安全装備が充実していますね。
EK9はエアバッグとABS くらいですが、ZC33Sは車線逸脱警報、横滑り防止装置や全方位モニターやブラインドスポットモニターなど現代的な安全装備が標準装備されています。

維持費・燃費

維持費の差も無視できない部分です。EK9は古いクルマなので、消耗品の交換頻度が高い。タイミングベルト、ゴム類、配線、足回りのブッシュ、挙げていけばキリがありません。燃費はそこまで大きく変わらないかなという印象。ちょっとZC33Sのほうがいいかなって感じです。
ZC33Sは新しいクルマなので、まずトラブルが少ない。ターボ車ですが燃費もリッター15km前後は普通に出ます。
EK9を維持するのは趣味の領域に入りつつあって、ZC33Sは普通の足としても成立する。
ネオクラに乗るなら維持費は覚悟が必要ですね。

新車価格・中古車市場

EK9発売時の時代を考慮すると物価の差はありますが
どちらも新車価格は200万前後とスペックから考量すると
かなり価格破壊気味な値段設定です。どちらもこの車がこの値段で買えたのか…ってあとから言われがちですね。

一方中古市場ですが
EK9は完全に高騰していて、程度の良い個体は新車価格をはるかに超える金額で取引されています。今後も下がる可能性は低そうです。
買えたとしても、その後の維持費と修理のリスクを考えると、なかなか勇気がいる買い物です。
ZC33Sは中古でも程度によっては
新車を超えてきていますがまだ200万~300万で手に入ります。
玉数も豊富で選びやすい。選択肢としてATもあるのでそっちは安めで買えます。
スポーツカーとして「今買って今楽しめる」という意味では、ZC33Sの市場価値は本当にありがたい状態だと思います。

余談ですが、この価値ゆえEK9の盗難リスクは非常に高いです。
実際メルカリで不要な純正パーツを売っていましたが、もうゴミに近い状態のパーツに値が付くほど希少な車となっていたので
自宅駐車中も外出先でもかなり盗難には怯えていました。
ステアリングを外して、ロックをかけたりと対策はしていましたが
常に不安はつきまといましたね。
その点ZC33Sは街に溢れかえっていますし、まだ高騰していないので
盗難に対する精神的なストレスはなくなりました。

先代ZC32S

先代ZC32Sとの比較で言うと、本来近い性格を持っていたのは先代のSuzuki Swift Sport ZC32Sなんですよね。同じテンロクNAで、回して楽しむタイプ。あの世代までのスイスポは、EK9の系譜に近いキャラクターを残していたと思います。ZC33Sでターボになった瞬間、スイスポは別物のクルマに進化したという感じです。よく言えば現代的で速い、悪く言えば回す楽しさを少し手放した。
EK9乗りからすると、ZC32Sのほうが感覚的にしっくりくる人は多いかもしれません。

まとめ

EK9というクルマは、スポーツカーというよりレーシングカーに近い存在でした。
市販車の皮を被ったレース車両という言い方がいちばん近いです。
ZC33Sももちろん本気のホットハッチですし、コストパフォーマンスでは圧倒的なんですが、本気度で言うとちょっと違う。
スイスポがすごいのは間違いない。ただ、タイプRは別格な存在だとも思います。

今のシビックタイプRは、もはやEK9とは完全に別のクルマです。車体は大きく、価格も高く、ターゲットも違う。
素晴らしいクルマなんですが、当時のEK9が持っていた「コンパクトで軽くて楽しい」というコンセプトは、Honda Fit RSに受け継がれたのかな?と思います。
そして、今その役割をいちばん背負っているのが、間違いなくZC33Sなんですよね。軽くて、コンパクトで、価格も手が届いて、走って楽しい。EK9に乗っていた人間として、ZC33Sを選んだ理由はここに尽きます。