スイフトスポーツのZC33S、いわゆる和製ホットハッチの代表格と言われているクルマです。ファイナルエディションの新車価格が232万円ちょっと、エンジンは1.4Lターボで140馬力、トルクは230Nm、車重は約970〜990kg。 このスペックでこの値段は今の時代ちょっとあり得ない数字ですね。 上級グレードにオプションを盛れば250万近くなる軽もある中で、6MTのスポーツモデルがこの価格で買えるって、改めて考えると結構すごい話だと思います。
じゃあ外車のホットハッチに目を向けてみると 似たコスパの車は存在するのか?調べてみました。 値段、年式、スペックが近そうなものを並べて、ドアの枚数による実用性の違いも含めて比較してみます。 比較対象は、ポロGTI、MINIクーパーS、アバルト595の3台。この3台はホットハッチ好きなら一度は名前を聞いたことがある定番どころだと思います。
フォルクスワーゲン ポロGTI
ポロGTIは昔からZC33Sのライバルとして名前が挙がる一台です。エンジンは2.0Lターボで207馬力、トルクも320Nmあるので、出力面では完全に上回っています。0-100km/h加速は6.5〜6.7秒ぐらいで、ZC33Sと比べると数字上は明確に速い車です。 ボディサイズはZC33Sより少し大きめで、こちらも5ドア構成。後席の使い勝手は悪くないです。
ただ問題は値段なんですね。 現行モデルの新車価格は411万円から、円安が進んだ今では限定車のエディション25が約480万円台というところまで来ています。2018年に現行型が出た当時は344万円だったらしいので、ここ数年でほぼ100万円上がった計算です。
正直、新車では比較対象にすらならない価格帯になってしまった印象があります。ただ中古市場に目を向けると、2018年から2020年あたりの個体が200万円前後で出ていることが多いです。年式と装備が近いZC33Sの中古とほぼ同じくらいで、なんとか手が届く範囲。 走りはさすがDSGのフィーリングと2.0Lのトルクで、ZC33Sより明らかに速いです。
ただ維持費を考えると、輸入車の税金・整備代・タイヤ代がじわじわ効いてきます。タイヤは年式やグレードによりますが、上位仕様だと215/40R18が標準で、1本2万円台後半が当たり前。まあZC33Sの195/45R17もレアサイズでこのサイズにこだわると高くつきますが。 ディーラーでの定期整備もスズキより高くつくことが多く 趣味のクルマとしてなら全然アリだと思いますが、毎日の足として無理なく持てるかというと、人を選ぶ感じですね。
MINIクーパーS(F56)
ミニのクーパーSは多分、外車ホットハッチで街中で一番見るやつです。 F56型のクーパーSは2.0Lターボで192馬力ぐらい、トルクは280Nm。車重は約1,240kgあるので、パワーウェイトレシオで言えばZC33Sより少し有利なぐらい。 数字ほど圧倒的な差ではない気もします。
ここで注目したいのはドアの枚数です。クーパーSには3ドアと5ドアの2種類があって、これで使い勝手がかなり変わります。3ドアは後席に人を乗せる頻度が少ない人なら問題ないんですけど、家族や友達を頻繁に乗せる派の人だと5ドア一択だと思います。雨の日に後席へ乗り込む動作、かなり億劫になります。
中古価格はピンキリで、F56の前期型なら150万円台から、後期のクーパーSだと300万円超えるものもあります。ZC33Sの中古とほぼ同じ予算感で買える個体もそこそこある感じです。
ただミニは整備代がそこそこかかる印象なんですよね。電装系のトラブルもちょいちょい聞く話で、認定中古車じゃない個体は事前のチェックが大事です。タイヤも17〜18インチで、ブレーキパッドやオイルも純正指定品が高め。年間のランニングコストはZC33Sより明らかに上がります。趣味性はめちゃくちゃ高いですけど、足車として割り切るにはある程度の覚悟が必要かなと思います。
アバルト595
イタリア勢の代表、アバルト595はキャラクターが完全に別ジャンルです。1.4Lターボで145馬力から180馬力ぐらい、3ドアのみの構成。チンクエチェントベースの小さいボディに無理やりホットを詰め込んだ感じで、刺激的な車です。
中古価格は200万円から300万円ぐらいで、年式が新しいものほど装備が充実しています。電動化への移行でガソリンモデル終了の流れもあって、相場は今後どう動くか読みにくい状況なんですよね。値上がりするかもしれないし、タマ数が増えて落ちるかもしれない。
ZC33Sと比べると、アバルトは完全に趣味の方向に振り切っています。乗り心地は固め、エンジン音はうるさめ、後席はおまけレベル、トランクも実用性は期待できません。実用性の話で言えばZC33Sの圧勝です。ただ、見た目とサウンドとブランドの所有感、これはアバルトじゃないと出せない部分。サソリのエンブレムと、独特の排気音、コンパクトでぎゅっと詰まったスタイリング。クルマを手段じゃなくて目的として持ちたい人には、ZC33Sでは出せない味わいがあります。「クルマに実用性を求めない派」「セカンドカーで遊びたい派」なら有力候補だと思います。
ドアの枚数で何が変わるのか|意外と毎日効いてくる話
ホットハッチ選びで地味に重要なのが、ドアの枚数なんですよね。ZC33Sは5ドア、ポロGTIも5ドア、ミニは3ドアか5ドアの選択、アバルト595は3ドアのみ。
3ドアはシルエットがスポーティーで見た目は確かにかっこいいんですけど、後席への乗り降りで前席を倒す手間が毎回発生します。荷物を後席に置きたいときも結構面倒な気がします。コインパーキングの狭いスペースに停めたとき、隣の車との距離でドアが開けきれないとか そういう細かいストレスも積み重なってくるんですよね。 一人乗りメインなら全然気にならないですが、二人以上乗せる頻度が高いと、5ドアのありがたさが効いてきます。
その点ZC33Sは最初から5ドアしか設定されていないので、実用性の悩みがほぼないんですよね。買い物、通勤、ちょっとした遠出、全部こなせる。スポーツカーっぽさを残しつつ、後席に普通に人を乗せられる。これは地味だけど大きな強みだと思います。スポーツモデルは3ドアのほうが「らしい」みたいなイメージもありますが、ホットハッチは日常使いの利便性も求められると思うので 毎日使うことを前提にすると、5ドアの設計思想は理にかなっている気がします。
結論|コスパで見るとZC33Sの完成度が異常
スペック上の絶対値だけ見ると、ポロGTIもミニクーパーSもZC33Sより速いです。ただ、新車232万円・5ドア・約970kgという軽さ・スポーツ向けにしっかり煮詰められた足回り、これらを全部揃えているZC33Sは、コスパで見ると異常な存在だと改めて思います。
外車のホットハッチには所有感やブランドの魅力があって、それは数字に出ない部分の良さです。峠道で攻める楽しさはどれを選んでも味わえますが、毎日の足として使うこと、維持費の現実、後席を含めた実用性まで含めて考えると、ZC33Sの完成度はやっぱり一段抜けてる気がします。自分も乗っていて、強いて言えばくらいの不満しかないレベルです。
ホットハッチを買おうと思ってる人で、最初の一台に悩んでるなら、ZC33Sから入って次に外車という流れが、お財布的にも経験的にもバランスいいかもしれません。逆に、最初から所有感やブランドで選びたい派の人なら、外車3台のどれかを選ぶのもアリだと思います。それぞれキャラクターが全然違うので、試乗してフィーリングが合う一台を選ぶのが正解な気がします。クルマ選びって結局、スペック表だけじゃ決められない部分が大きいんですよね。
