ZC33S乗りが振り返るスイフトスポーツの歴史【HT81S/ZC31S/ZC32S】

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現行のZC33Sに乗っている自分が、歴代スイフトスポーツの流れを一本にまとめてみました。2003年のHT81Sから始まって、ZC31S、ZC32S、そして今のZC33S。それぞれの時代に何が変わって、何が受け継がれてきたのか、現役33乗りの目線から振り返っていきます。

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HT81S

スイフトスポーツの歴史は、2003年6月に登場したHT81Sからスタートします。

スイフトスポーツの始まりといえばこれ、いやいやZC31Sからという意見もありますが
原点という意味で今回はこちらも紹介します。

ベースになったのは初代イグニスで、当時スズキがJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)に参戦していたイグニススポーツの世界観をそのまま市販車に落とし込んだ、なかなか尖ったキャラクターの一台でした。

エンジン:M15A型 1.5L 直4 NA(ハイオク仕様)
最高出力:115ps / 6,400rpm
最大トルク:14.6kgm / 4,100rpm
トランスミッション:5MT(クロス寄り)のみ
ボディタイプ:3ドアのみ
車両重量:約930kg
新車価格:119万円(ワンプライス)

このスペック表を見るだけでも、今のスイスポとはずいぶん性格が違うのが伝わると思います。

特にトランスミッションが5MTのみ、ボディも3ドアのみ、しかも価格は119万円のワンプライスという潔さ。 「乗りたい人だけ乗ればいい」という感じの、かなり硬派な仕様です。

エンジンも、M15Aをベースに鍛造ピストン・高圧縮比化・ハイオク化・専用ECUといった専用チューニングを盛り込んでいて、ベース車とは別物の仕上がり。これで119万円というのは、今振り返ってもなかなかバグった価格設定です。

やはりスイスポのコスパは異常。

走りの方向性も、現代のスイスポのような”快適に速い”系ではなく、ラリー寄りの荒削りな味付け。930kgという今では考えられないほどの軽さをぶん回して走る、ジムカーナや競技ベース車として光るタイプの車ですね。

今のZC33Sに慣れた感覚で乗るとちょっと素っ気ない車だと思います。

装備も最低限ですし、内装の質感も時代相応。 ただ、その分「車を運転するという行為そのもの」をシンプルに楽しめる一台で、コアなファンが今でも一定数いるのも納得です。

ZC31S

2005年、二代目スイフト(ZC型)の登場とあわせて、スイフトスポーツもフルモデルチェンジしてZC31Sになります。 ここで一気にキャラクターが変わるんですよね。

エンジン:M16A型 1.6L 直4 NA
最高出力:125ps / 6,800rpm
最大トルク:15.1kgm / 4,800rpm
トランスミッション:5MT / 4AT
ボディタイプ:5ドア(日本仕様)
車両重量:約1,060kg(MT)

排気量が1.5Lから1.6Lへアップして、出力もトルクも全体的に底上げされました。

そして大きなポイントとして3ドアから5ドアになったこと。 後席の乗り降りや荷物の積み込みが圧倒的に楽になって、「日常使いできるスポーツカー」というポジションがここで確立されました。

さらにATの設定も追加されて、MTに乗れない人にも選択肢が広がりました。

世界戦略車として開発された二代目スイフトをベースにしているので、欧州市場も意識した作り。ボディ剛性や足回りもしっかり強化されて、「踏めるスポーツカー」として仕上がっています。

ただ、実際に道で見かける機会は、ZC32SやZC33Sに比べるとかなり少ないです。 台数自体はそれなりに出ていたはずですが、今となっては中古市場でもタマ数が減ってきていて、半分レア車みたいな感覚もあります。

ZC31Sは、「初代の硬派さ」と「現代の使いやすさ」のちょうど橋渡しをした世代、という位置づけが一番しっくり来ますね。

ZC32S

2011年に登場したのがZC32Sです。 ZC31Sで確立した方向性を、もう一段熟成させた世代です。

エンジン:M16A型 1.6L 直4 NA(ハイオク仕様)
最高出力:136ps / 6,900rpm
最大トルク:16.3kgm(160Nm) / 4,400rpm
トランスミッション:6MT / CVT
ボディタイプ:5ドア
全長×全幅×全高:3,890mm × 1,695mm × 1,510mm
車両重量:1,040kg(6MT) / 1,060kg(CVT)

注目したいのは、ZC31Sから出力が10ps以上アップしているのに、軽量化も実現している点です。 ZC31SのMTが約1,060kgだったのに対し、ZC32Sは1,040kgまで落とし込んでいて、高張力鋼板を多用してボディ剛性を落とさずに軽くなっています。

スイスポは代を重ねるごとにパワーアップしていますが、それと合わせて軽量化されているのがすごいですよね。

エンジンは同じM16Aですが、可変吸気システム(VIS)の採用や内部フリクション低減を徹底して、6,900回転で136馬力を絞り出す高回転型に仕上げ直されています。 レッドゾーンまで一直線に吹け上がるフィーリングは、NAスイスポの集大成でしょう。

そして、このエンジンを使い切るために用意されたのが、専用セッティングの6速MT。クロスレシオで、シフトを繋ぐたびにパワーバンドに乗ってくれる、まさに走るためのギアボックスです。

全幅1,695mmという完全な5ナンバーサイズも、ZC32Sの大きな魅力。 日本の道で気を使わずに振り回せる車格、テンロクNA、6速MT、1トンちょいの車重。

不満点としてよく挙がるのが「電子スロットルのもっさり感」と「6速で高速巡航すると回転数が高めになる(100km/hで約2,900rpm)」あたり。クロスミッションの宿命と、当時の電スロ技術の限界という感じです。

ZC33S

そして2017年、現行のZC33Sが登場します。 ここでスイスポは大きく方向転換することになります。

エンジン:K14C型 1.4L 直4 直噴ターボ
最高出力:140ps / 5,500rpm
最大トルク:230Nm / 2,500〜3,500rpm
トランスミッション:6MT / 6AT
ボディタイプ:5ドア(3ナンバー化)
車両重量:970kg(6MT) / 990kg(6AT)

最大の変化は、1.6L NAから1.4Lターボへのエンジン換装。 排気量はダウンサイジングされていますが、トルクは160Nm→230Nmと大幅に増えています。

低回転からモリモリ加速する現代的なフィーリングで、街乗りでも高速でも圧倒的に楽。

日常の使い勝手という意味では、ZC32Sまでとは別格ですね。

そしてもう一つの大きな変化が、ボディの3ナンバー化(全幅1,735mm)。 ワイド化によって走行安定性は上がりましたが、5ナンバー時代のヒラヒラ感は薄れた、という意見もよく見かけます。 ここは好みが分かれるところですね。

6MTで970kgという車重も注目したいところ。 今の安全基準と装備を満たしながら、ターボエンジンを積んで970kgというのはちょっと異常な数字で、このあたりはスズキのこだわりを感じます。

自分が乗っている33の感想として正直に書くと、「速い、楽、そして安い」の三拍子が揃った車です。 ただ、ZC32S乗りや先輩世代のスイスポ乗りから見ると「ターボで楽になりすぎた」という声があるのも分かる気がします。アクセルを踏み切る悦びは、確実にNA時代の方が強かったと思いますし。

まとめ

歴代を通してブレなかった”スイスポの芯”

ここまで4世代を振り返ってきましたが、性格は世代ごとにかなり違います。 HT81Sはラリー寄りの硬派、ZC31Sは日常使いできる入り口、ZC32SはNAスイスポの完成形、ZC33Sはターボで別ステージ。 それぞれ別の車と言っていいくらいキャラクターは違うんですよね。

でも、共通しているものもあります。

・1トン前後という軽さ

・コスパに極端に振った価格設定

・MTが必ず用意されている

・ベース車とは別物の専用チューニングが入っている

このあたりは20年以上ブレずに守られているスイスポの芯の部分です。

特に「200万円前後で本格スポーツコンパクトが買える」というポジションは、世界的に見てももう貴重で、他のメーカーでは作れなくなってきている領域だと思います。

次のスイスポがどうなるのか、そもそも出るのかも含めて不透明な時代になってきました。 そう考えると、現行ZC33Sは「最後のピュアな内燃機関スイスポ」になる可能性もあって、貴重な存在になっていきそうな気がします。

以上、スイフトスポーツの歴史についての動画でした。